ニホンカナヘビの飼育記録①
2018/11/11
今回は私史上、最も飼育歴の長いニホンカナヘビの飼育について御案内をしていこうと思います。
かつては日本の多くの地で見られた本種ですが、最近はその数を減らしているように思います。
私が以前よくカナヘビと出会えた多くの場所はほとんどカナヘビが姿を消してしまいました。
河川の護岸工事や農薬散布などが原因だと思います。千葉や東京では絶滅が危惧される種として指定をされるほどだそうです
(日本のレッドデータ検索システム)
彼らの住む場所が少なくなってしまっているのはとてもさみしいことです。
写真や記録にはあまり残っていませんが、2009年に飼育をしていた個体の写真がありました。
私自身が子供のうちはカナヘビを捕まえる時間も環境もありましたが、飼育用品を自由に揃えるお金も敷地もありませんでした。
社会人になってからはお金には困りませんが、時間があまりない中で工夫して飼育をしています。
ニホンカナヘビは個体差があるものの、比較的多頭飼育がしやすい種のように思います。
特に幼い頃から多頭飼育に慣らしておくと大きくなってからもそのグループ内ではうまく生活ができるようです。
しかし、縄張りに新入りが入って来たりすると攻撃をしてしまったり、繁殖期にメスよりもオスの数が多いようだとケンカが絶えないようです。
残念ながら他者に対してあまりに激しい攻撃性を示すようになった子は、一緒に暮らすことができなくなってしまったので、別居させなければなりません。
発情期に入ったオスに多いようです。そして別居暮らしをさせるとなおさら社会性が失われるのか、もとの仲間と同居させても、もう仲良く暮らすことはできなくなってしまいました。
本当に残念でしたし、気の毒でした。
ただ、単独飼育だとまわりに餌を取られる心配がないので、ゆっくりと食事をするようです。
自分が食べたくないときは食べません。好きな餌でなければ好き嫌いもへっちゃらです。
それとニホントカゲほどではありませんが、ニホンカナヘビもまた水の中に潜ることがありました。
これはちょうど潜水していたカナヘビが顔を出したところです。全身水浸しになっても水の中に入りたいものなのですね。
餌は良くヨーロッパイエコオロギを与えています。
とりあえずどこでもいいから噛み付くようなのですが、頭や首のあたりに噛み付いて絶命をさせてからゆっくり食べるようなことをする子がいました。
コオロギの後ろ足から先に食べるようです。後ろ足は残してしまう子もいますが、この子は残さずに食べるようですね。
硬い胴体の部分もよく噛んで柔らかくしています。こうやって自分の頭よりも大きな餌だって食べることができるのですね。
サキシマカナヘビはその尾が長いことで有名ですが、ニホンカナヘビだって負けちゃいません。
尾を自切してしまうと再生尾は短くなってしまいますが、自切させなければ立派な長さに成長してくれます。
ニホンカナヘビは卵を生みます。鶏のように卵を守る習性はなく、生みっぱなしですが、卵が育ちやすいような多湿のところに産み落とすようです。
妊娠するととてもお腹が大きくなります。まだ若いメスだと小さな体に卵を詰め込んだ姿が心配になるほどです。
なんとか卵を孵したかったのですが、産卵をした時期がサキシマカナヘビと同じく秋だったこともあり、卵は還りませんでした。無精卵だったのかも知れません。
多くの卵を生んでくれたのにとても残念でした。
ニホンカナヘビ達は、とても表情が豊かで見ていて飽きません。
恐竜のような、怪獣のような怖い顔をしていることがあったり・・・
カナヘビ達は、コオロギ、ハニーワーム、ワラジムシをよく食べます。
ミルワームは、うちでは今の所、まだあまり食べてくれません。ただ他の飼育者の話を聞くと食べる子もいるみたいなので、それまで育ってきた環境などで違うのかも知れませんね。
また与えてみたいと思います。
レオパゲルやレオパブレンドについては食べる子もいましたが、趣向性はコオロギやハニーワームには劣るようです。
これはまだ生まれて間もない幼いニホンカナヘビ。うちに来てくれました。
この子達には毎日のように様々な餌を与えました。
日光浴も十分にできる環境にしていました(ベビーカナヘビ飼育参照)
眠るときは仲間と一緒になって眠るようです。
危機回避の本能なのでしょうか。群れを作るわけではないと思うのですが、一箇所に集まって寝ています。
うちに来て2ヶ月弱くらいではもうこんな立派な顔つきになりました。
真夏の暑さには問題なく耐えてくれましたが、脱水になりやすいので常に大きな水入れに水を満杯にしておきましょう。ウェットシェルターなどもあったらいいと思います。
冬はうちでは冬眠させずに越冬しています(トカゲ・カナヘビの越冬参照)からパネルヒーターとバスキングライトが必要です。
ただそれらがあれば十分ですので、温室までは作っていません。
冬は夏以上に太陽光が十分にあたるようにしています。
ケンカするようなことさえなければもっと飼いやすい種だと思うのですが、ケンカが激しいのところが難しい種ですね。
防止策としては、体格や性格にあまり差のない子達を同居させるのであれば、ケンカがあったとしても一方的になることはないのでまだ良いのかも知れません。
あとはオスメスの比率を1:2以上にしてあげてオスを少なめにすればメスを巡るバトルは少なくなりますし、メスの負担も軽減できます。
サキシマカナヘビとと同じくニホンカナヘビも求愛が非常に激しいので、あまりに体格差のあるオスとメスを同居させない方が良さそうです。メスが大きい分には構いませんがオスが大きいと悲劇になりかねません。
最後に飼育下におけるニホンカナヘビの狩りの瞬間を収めた動画です。
餌を捕らえる姿はとてもかっこよくて、つい時間を忘れて見てしまうほどです。
ぜひ皆さんもニホンカナヘビの飼育にチャレンジしてみてくださいね。
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