カナヘビ・トカゲの飼い方 ~冬眠やそのほかの越冬方法について~【2】

      2018/12/03

前回の記事では、冬眠させずに活動させたまま、越冬する方法について私の経験談をお話しました。
今回は、
●冬眠については、トカゲの意志にまかせる
この方法について書いていきます。

これは2011年に実際にやった手法です。
過去の飼育ブログに掲載をしたこともありましたが、そのブログは3日坊主で終わってしまったため、改めて御紹介します。

ニホントカゲの冬眠方法ですが、いくつかの課題がありました。
それをひとつひとつクリアしていくことが当時、ニホントカゲの幼体の越冬の成功につながったと思います。
貴重な命を無謀な実験台にするわけにはいかず、トカゲの元気な姿をまた春に見るためにまずは課題の洗い出しから行いました。大きく考えて、
■温度管理
■湿度管理
■水の確保
■衛生管理
これらが必要だと考えました。

これらの条件を満たす為にはどうしたら良いのか。限られた空間で快適に越冬してもらうするには何度が良いのか。トカゲ君に聞けたら良いのですが、返事はしてくれません。

私は、『わからないならいろんな環境を作ろう』と考えました。
気に入ったところを自分で探して過ごすだろうと思ったのです。

具体的には…。

60cm水槽イメージ

まず60cm水槽の下にシート型のヒーターを敷きます。
全面に敷かないのがミソです。マルチパネルヒーターなら16wのもので十分でしょう。

ヒートシーターは必ずサーモスタッドが付いていて温度管理ができるものを使用します。
マルチパネルヒーターは温度設定ができるので、細かい設定ができますから好んで使用しています。

更に省エネのためアルミシートを一番下に敷いています。こちらは水槽下全面に敷きます。

※3畳分も必要ありません。1畳分あれば十分ですので、購入するときは面積よりも断熱性能(厚みなど)を重視しましょう。

アルミ断熱シート

ホットカーペットの下に敷くもので秋以降にホームセンターなどで断熱シートやアルミシートという名前で売られています。これで下からの放熱を防ぎ、保温を効果的に行います。
底材は、黒土を使用しました。
黒土を使うのであれば、近所の畑などから拾うのではなく園芸用のものをホームセンターで購入しましょう。
余るほど大量の黒土を安く買うことができます。
ホームセンターに買い物に行くことができない都合のある方はこちらをどうぞ。
どうしても送料などがかかってしまうので割高になりがちですから積極的にお勧めはしませんが、買い出し行けない人にとっては便利ですよね。

でも、今では爬虫類用の床材としてソイルやウォールナッツサンドなどが売っていますからそれを利用するのがいいかも知れません。ただ黒土に比べると保湿力という意味では劣ると思います。これらは乾燥した環境に住むトカゲ用の床材のように思います。

※トカゲが誤飲してしまうことがあり得るサイズのものを床材に使用する場合は、誤飲してしまったときに消化できないようなものは避けたほうが良いそうです。
便秘の原因になると動物病院の先生に教えていただきました。

2011年当時はソイルやウォールナッツサンドのようなものはメジャーではなく(少なくとも自分の家のそばには売っておらず)、ネットで調べたところ黒土を使用されている方がいましたので、私も黒土をメインに消臭効果の高い木炭をブレンドして自作しました。
その上から落ち葉を乗せてあげます。
底材はカビやダニ防止のため電子レンジでチンしてから使用することをお勧めします。万が一ダニなどがいたとしても殺すことができます。落ち葉は電子レンジでチンすると燃えてしまう危険があるので、煮沸消毒してから乾燥させることがお勧めです。お湯を沸かして、落ち葉を入れて沸騰してから5分ほど煮沸します。そのあとは日が当たる室内で天日干しです。本当は直射日光の方が消毒効果は高いのですが、屋外に出してしまうとまたダニ等がつくリスクが出てきます。
冬眠途中にリセットすることは困難ですから最初から衛生管理には十分に気をつけましょう。

落ち葉

そこで床材の敷き方にポイントがあります。
床材はパネルヒーターの上から全体に掛けて敢えて傾斜をつけて敷いてゆきます。斜めにするんです。
そうすることで、均一に霧吹きをしたとしても、温度や湿度の多様性が出てくるのです。
また、より保湿性を高めるために必ず水入れを入れて、水を満たすようにしていました。
水入れは、万が一、トカゲが冬眠から突然目覚めても水を飲める環境を用意しておくことが必要ですから必須だと考えます。

さて、傾斜をつけることでどうなったでしょうか。
底床の薄いところは床からの熱が地面に伝わりやすく、地表温度が高めになるまで上昇しますが、底床の厚い所は熱が伝わりにくいので地表の温度はそれほどまで上昇しません。
また、落ち葉が断熱材になるので表土からの放熱は少なくなっています。落ち葉の保温効果のおかげで急激な温度変化を防ぐこともできます。
湿度についても同様で、黒土が薄いところは比較的乾燥しやすく、黒土が厚いところは比較的保湿性が高くなります。

60cm水槽イメージ02

図でみると一番右が床床が厚く、パネルヒーターが下にないので一番温度が低くなり、湿度は高くなっています。左に行けば行くほど床材は薄くなり、パネルヒーターがあるので温度は高くなり、乾燥しやすくなります。

 このように水槽内に多様性を持たせてあげることで、トカゲが自分にとって一番心地良いところで過ごすようになります。
 冬眠するかどうかはトカゲ任せです。冬眠しようと思えばすることもできますし、冬眠しないでおこうと思えばしません。当時のニホンカナヘビは冬眠せず活動し続けましたが、ニホントカゲは冬眠したので、冬の間はしばらく見ることがありませんでした。そもそもニホントカゲを黒土で飼育すると、いつも潜ってばかりなので、冬以外もじっくり観察することはほとんどできませんでしたが・・・。黒土での飼育はニホントカゲにとってはより自然に近くて良い環境なのかも知れませんが、飼育者のモチベーションが上がらないことは間違いないです(笑)。
 当時の写真は解像度が低いものしかありませんが、参考に掲載します。
 冬はもうすぐに来ます。冬支度を早めに始めて、ぜひ皆さんのところでもニホントカゲやカナヘビを無事に越冬させてあげてくださいね。


60cm水槽イメージ03

【12月追記】
秋から冬になってきましたので、寒さ対策についてパワーアップしました。
追加の対策についてはこちらを御覧くださいね。

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