トノサマガエルの飼い方(第2回)
2018/11/06
今日はトノサマガエルの飼い方の第2弾です。
今回の話は飼育水の濾過についてのみです。
書いていたらここの記事の分量が増えてしまったので、これ一本で記事にしたものです。トノサマガエルを始めとする水棲生物の飼育を考えている方の参考になれば嬉しいです。
〈 目 次 〉
第1回 トノサマガエルの飼い方
飼育ケージ
●同居人たち
●トノサマガエルの餌
第2回 トノサマガエルの飼い方(濾過器編)(今回はここ!)
●トノサマガエルと飼育水の濾過
第3回 トノサマガエルの飼い方
●夏の過ごし方
●冬の過ごし方
●メンテナンス
●飼育下での繁殖
●その他飼育グッズ
●トノサマガエルと飼育水の濾過
カエルは魚に比べて糞尿が大きく、水を汚すイメージがあったので、原則週1全換水を想定しつつ、濾過器も導入しました。ほとんどの濾過器は熱帯魚用に作られていますから水位が高い水槽を前提にして作られています。しかし、トノサマガエルにはそんな大量の水はいらないですし、水位を高くしてしまうと脱走の恐れが強まることと、衣装ケースはそもそも飼育用のケースではないのであまり大量の水に耐えられるかどうか不安でしたので、水位が低くても作動する亀用の濾過器を購入しました。
濾過器からは浄水がシャワーのように排水されることで飼育水に酸素を取り込むとともに、陸地面の保湿も兼ねます。
濾過器には、プレフィルターとしてスポンジを巻き付けます。このスポンジが一番汚れるので、スポンジは週に1度交換します。60cm水槽の上部フィルター用の安スポンジで構わないのですが、このスポンジはちょっと硬めのものが良さそうです。柔らかすぎたり、遊び毛があるとフィルターを詰まらせてしまいます。60cm用のものを1/3、あるいは1/2にカットしてプレフィルターとして物理濾過のために使います。
コーナーパワーフィルターの中は生物濾過のために濾材を詰め込んでいます。
濾材には、洗車スポンジ濾材と熱帯魚用の濾材を入れました。
洗車スポンジ濾材については研究されている方がいらっしゃいますので、こちらを参照ください。この方の研究によると相当優秀な濾材のようです。
右が洗車用スポンジをサイコロ状にカットしたまま、未使用のもの。左が約5ヶ月程度使用したものです。バクテリアが活着して黒い色になっています。
こちらも右が未使用のもの。左が約5ヶ月程度使用したものです。熱帯魚のフィルター用に売られていた濾材ですが、バクテリアがつくと色が変わることがわかります。
バクテリアが活着することで、バクテリアが魚やカエルにとって有害な物質を分解してくれるようになります。生物を使った濾過なので、生物濾過と言われる仕組みです。バクテリアの住む面積を広くすること、バクテリアが住む場所に飼育水をより効率的に通すことが大切になります。あまり急流ではない方がいいのですが、流れが無くなってしまうのも問題ですからチョロチョロといったくらいの流れが最適です。
これらをこのようにしてメッシュ状の袋に包んであげるとメンテナンスがとても楽になります。これを袋ごとフィルターの中に入れてあげれば、フィルターの形状に合わせてスポンジがフィルターの中に膨らみます。目詰まりを起こすようであれば、袋ごと取り出してメンテナンスをすることができます。この濾過器は約5ヶ月稼働しましたが、水の流れが悪くなりましたので、メンテナンスのため一度外して濾過器の中をきれいに洗いました。
フィルター本体はがっつりと洗っても構いませんが、洗車スポンジと濾材は大事なバクテリアが住み着いていますからほとんど洗いません。よほど汚れが激しいときに換水した飼育水でさっとすすぐ程度でしょうか。洗剤等を使って洗ってはいけません。
フィルターそのものは、GEXサイレントフローパワーとローテーションで使っています。
これもまた、水位が低くても作動するタイプなので、取水口にスポンジを巻き付けて、プレフィルターとした上で、中に濾材を詰め込んで使用しています。
穴が無数に空いているところが取水口です。MINまでは水位がないといけないのですが、この程度の低水位でフィルターが稼働してくれるのはありがたいことです。この取水口を塞ぐようにプレフィルターとしてスポンジマットを巻きます。
これで穴を全て塞ぐことができました。フィルターに入る水は全てこのスポンジを通してから入ることになります。このスポンジで大きなゴミを物理的に取り除きます。物理濾過と言われるやり方ですね。
このように物理濾過→生物濾過の順に濾過をしてあげるのが効率的です。
更にカエルたちの足場、陸地にフィルターを通った水が落ちるようになっているのですが、この足場の下にも濾材が入っています。
網の上の水苔やウイローモスを外して外に出すとこのようになっています。
フィルターから降り注いだ水は網から落ちるのですが、そこにはまたスポンジフィルターがあります。
そのスポンジフィルターの下には麦飯石(天然ゼオライト)が詰まっています。
ここで角切りになって入っているのはキッチン用のスポンジです。隙間があったので、試しに少し入れてみました。
しかし、キッチン用のスポンジではあまりバクテリアの巣には向かなかったようです。洗車スポンジと比較してみるとよくわかりますが、色が全く違います。正直、キッチン用のスポンジは濾材としては失敗でしたね。
でも、この箱自体がバクテリアの住処になる生物濾材入れとなっています。
麦飯石(ゼオライト)は、導入最初は吸着濾過の効果があります。吸着濾過は飼育水をきれいにする効果は高いのですが、その効果が短いことが欠点です。定期的に交換の必要がある外掛け式のフィルターの濾材や竹炭などが吸着濾過の代表的なものです。ゼオライトにもそれらと同様に吸着濾過の効果があります。ただ、ゼオライトは竹炭などと異なり、吸着しきった後にも、今度は生物濾過のためのバクテリアの住処になるのではないかと考えています。ゼオライトは色々汎用性があるので、熱帯魚の飼育や観葉植物の底石にも良く使用しています。
ホームセンターの園芸コーナーで鉢底の石として、あるいはダイソーで魚焼きグリル敷石として売られていますので、コストパフォマンス的にはそれらを購入するのが良いように思います。
この濾材ボックスはそこにそれぞれの側面4つにだけ穴が開けてあり、その穴から濾材を通過してきた水が出れるようになっています。
ちょっとスタイリッシュとは程遠い見苦しいものですが、図示してみました。
買ってきたフィルターから自作の濾材庫に水を誘導することで、一度の揚水で、二重に濾過をして水の浄化をまかないます。
試行錯誤の濾過器でしたが、週1でフィルターに取り付けたプレフィルターマットを交換するだけで飼育が順調にできるようになりました。
少々物理濾過が弱いものの、今のところ、順調に成長しています。
このまま改善を続けていこうと思います。
今回紹介した飼育用品は以下のとおりです。
ゼオライトは熱帯魚用品としては麦飯石として販売されていますので、ペット用品として購入したい方は「麦飯石」を探してみてください。
洗車スポンジはホームセンターやダイソーさんでも買うことができますが、ネットでもお安く買うことができそうです。他の商品との併せ買いにいいかも知れません。
濾材を詰めるのに今回使用したものは、ダイソーで購入した【排水口ネット ストッキング 浅型】というものです。
ネットでの買い物が便利な方はこちらをどうぞ。
(濾過マットは実際に商品を見てみないとプレフィルターとして適当かどうかわかりませんので、ぜひ店頭でペット用品を取り扱っている実店舗でいいものを探してみてください。遊び毛が出ない硬めのものがお薦めです。私自身がネット購入したことがないのでここでの紹介は控えさせてもらいます。)
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