アマガエルの飼い方①

      2018/11/04

今回は本州でよく見かけるニホンアマガエルの飼い方について紹介をしていきたいと思います。
カエルというと水田にいるイメージですが、アマガエルについては、オタマジャクシは水の中で育つので池や田などにいるものの、カエルになってしまうと、樹上性の暮らしをしますので、水の中にいつでもいるわけではありません。
ただ水辺の近くで暮らしていることには変わりはないようですので、飼育下では十分に湿度を確保してあげること、少なくともいつでも水に体ごと入れるような環境を作ってあげることが必要です。
また、樹上性の暮らしをしていますので、立体活動ができるようにして上げる必要があります。
平らなところだけでは、ちょっと気の毒であるようです。
そんなことを考慮しながらアマガエルの飼い方について説明をしていこうと思います。

〈 目 次 〉
●生活環境
●アマガエルの餌
●夏の過ごし方
●冬の過ごし方
●メンテナンス
●オタマジャクシの飼育
●飼育下での繁殖
●太陽光と体色について

●生活環境

生活環境については、上記のとおり樹上性のカエルですから立体活動ができるようにしてあげる必要があります。また、カエルの中では乾燥に強いほうですが、飼育ケージの中には水入れを用意してあげましょう。カエルの皮膚は非常に柔らかいので、けがをするような先が尖っているものはケージに入れないほうが良さそうです。
お勧めは観葉植物のポトスです。私はホームセンターの園芸コーナーで購入しました。成長速度は早くはありませんが、購入する量はほんの少しで構わないと思います。

ポトス

大きな葉っぱはカエルが隠れることができますし、その上に乗ることもできます。ポトスは非常に強い植物で、土がなくても鉢に水を張った中に根を入れておくだけでも生育することができます。
ポトスを育てるのにも水を使い、カエルが体を潤すためにも水を使うので、タッパーなどに水を張ってポトスを入れてあげるといいでしょう。
それとエアプランツをマグネットにバスコークで接着して、マグネットを使用して壁面に取り付けています。アマガエルは足に吸盤があるので、垂直な壁面にくっつくことが可能なのですが、やはり足がかりがあったほうが楽そうです。エアプランツは根を張らないので、このような接着剤やコーク剤を使って様々なものに接着することが気軽にできておすすめです。このエアプランツは、週に一度プラケースの掃除のときにでも外して4時間位水没させてあげことで、十分に水を吸収します。あとは普段から霧吹きをしてあげれば十分です。あとは全体を霧吹きでまめに吹いてあげましょう。できれば1日1回くらいは。
エアプランツもホームセンターで購入することができます。また運が良ければダイソーに置いてあることもあります。しかし、状態をよく見てから買わないと枯れてしまっているような商品もありました。注意くださいね。

エアプランツ

マグネットはなにかと便利なので、ぜひ活用をオススメします!
トカゲやカナヘビ、カエルを飼うための小さな工夫集
飼育環境については、アマガエルは比較的広範囲に対応できるようで、水田のように床一面が浅い水であったとしても、植物がおおい茂るような状態にしてあげればしっかりと生きていくことができます。
ただ、蒸し暑いような、蒸れるような環境と乾燥した環境は避けましょう。カエルが食欲を落とし、そのまま弱ってしまいます。
また、上述のようにアマガエルはトノサマガエルやヒキガエルと違って、足に吸盤がありますからガラスやプラスチックのケースを垂直に登ることができます。そのため必ずしっかりと蓋のついたケースで飼育をするようにしてください。それほど大きなケースの必要はありません。アマガエルであれば大きめのプラケースで2匹くらいまでは飼育をすることができます。

プラケース

 私は当初プラケースで飼育をしていました。軽くて持ち運びが楽ですし、それで特に飼育に問題はなかったのですが、天面の蓋以外に手を入れる場所がないので、どうしても上からカエルを見下すような形で世話をすることになります。餌をあげるときもメンテナンスをするときもどちらもです。
トカゲも同じなのですが、カエルも上からの視線はとても嫌がります。パニックになって逃げ回ると言う状態になってしまいます。自然界での彼らにとって上から見下されるというのは、天敵に狙われるのと同じ状況になるのでしょうね。そういう意味ではプラケースでの飼育は安価でお手頃ではありますが、いつも逃げ回るカエルを相手にせねばならず、カエルが飼育者に慣れるということは難しく、楽しさが半減してしまうように思います。
その点、グラステラリウムであれば、前面に扉がついていますから上からではなく、前から餌やりやメンテナンスができます。プラケースに比べれば多少値段は張りますが、使う価値はあるのではないかと考えています。今はグラステラリウムの底に水を張って、植物をいっぱいにして育てています。
グラステラリウムは3045がおすすめです。もっと大きいものを使えるならば、大きければ大きいほど良いのですが、このサイズを超えると重量が一気に大きくなります。取扱いが容易なレベルで、アマガエルが立体活動ができるよう高さを重視した3045であれば十分です。

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●アマガエルの餌

 餌は基本的には昆虫食になります。うちではコオロギをキープしていますからコオロギを与えています。頭と同じくらいの大きさであればバッタ、チョウチョ、コオロギなど比較的いろいろなものを食べますが、蟻やダンゴムシは食べません。入手しやすさからヨーロッパイエコオロギやフタホシコオロギがおすすめですが、人に慣れてピンセットから餌をとってくれるようになれば、人工フードも食べてくれるようになります。
 ヨーロッパイエコオロギは生きたままピンセットで挟むのが難しいので、生きたままケージ内にばらまくようにしました。また、ハニーワームならピンセットっでつかみやすいので、ハニーワームも与えました。ハニーワームはカエルにもトカゲにも大人気で、うちではこれでピンセット給餌を覚える子が多いです。ピンセット給餌を覚えた後は、腐ったり乾燥したりしていなければ、死んだコオロギであっても、ピンセットで与えたら食べてくれました。

コオロギを狙うアマガエル01

コオロギを狙うアマガエル02

 ピンセット給餌を覚えてからは亀の餌として売られている「レプトミン」とヒョウモントカゲモドキの餌として売られている「レオパゲル」も食べてくれるようになりました。レプトミンは水でふやかしてから与えます。粒が大きかったので、ふやかしてから半分に割ってあげています。栄養バランスをしっかり考えられたこれら人工フードを食べてくれるようになると飼育はうんと楽になります。ただよく食べてくれるからと言って与えすぎるとすぐに肥満になるから注意が必要です。うちの子は甘やかしすぎた結果メタボリックカエルです。

メタボ01

メタボ02

レプトミンの給餌について動画を撮りました!youtubeにアップしましたので、良かったら御覧くださいね。
レプトミンに気づくと振り返ってでも食べに来てくれます。

虫が苦手な方でもここまでできれば飼育はずいぶん楽です。アマガエルを飼ってみたい方、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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●夏の過ごし方

部屋に冷房を効かせる必要はありませんが、風通しがよく、朝日が少し入るような場所に置いてあげてください。必ずケージの半分程度は日陰にしてあげて、太陽の光はポトスなど植物によく当たるようにしてあげれば十分です。水切れに気をつけて過ごすましょう。それと水温を下げるためにグラステラリウムの上からファンを回して水に風を当ててあげると良いようです。気化熱の仕組みを利用して煮立つような水温を下げることができました。このことはまたトノサマガエルの飼育方法で改めて紹介します。

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●冬の過ごし方

カエルは本来冬眠をする生き物です。気温が10度を下回る頃になると徐々に活動量が落ちて冬眠をするようです。
ただ飼育下の冬眠はその間のメンテナンスがとても難しいと私は考えています。
体の大きなカエルであれば体力がありますから冬眠というのも一つの手法ですが、アマガエルは非常に体の小さなカエルで、飼育下で冬眠をさせるメリットはあまりないのではないかと考えています。ただ、もちろんすでに実績として冬眠させる飼育をされている方もたくさんいらっしゃいますので、その方々を否定するものではありません。私はアマガエルについては冬眠はさせず、パネルヒーターで冬を超す予定です。室内ですし、飼育環境は今と変わりません。

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●メンテナンス

アマガエルの糞尿は、実は相当匂います。特に糞尿が乾いたあとに鼻を突くような匂いを発します。カエルにとっても良くないでしょうし、植物にとっても良くないでしょうし、臭ければ飼い主も嫌になって近寄らなくなりますから週に一度はカエルの水槽を洗ってあげましょう。カエルはアマガエルだけではなくヒキガエルやその他のカエルも体表にわずかですが、毒があります。カエルを触ったあとは、その手であちこち触れることなく、石鹸で手を洗うようにしてください。
プラケースで飼育をしていたときは、週末にケースからアマガエルを取り出し、カラになった牛乳パックを洗ったものにカエルを一時的に入れて、その間にプラケースを丸洗いしていました。
ポトスやエアプランツにも糞などが付いてしまい、それが臭うので、それらもウエットテイッシュで拭き取ります。これが結構大変ででした。
今はグラステラリウムに換えて匂い問題はほぼなくなりました。グラステラリウムではフィルターをつけていますので、水を循環させていることも匂いがなくなった一因なのかもしれません。フィルターのメンテナンスは週に一度行いますが、それについては、トノサマガエルの飼い方を紹介するときにでも書こうと思います。特別なことをしているわけではなく、スポンジマットを洗ったり、交換しているだけです。グラステラリウムならしっかり蓋ができる上に通気性もよく、観音開きの扉であるため、ガラス面に吸盤で張り付くアマガエルが前面扉付近にいても問題なく開けることができます(スライド式の扉の場合、カエルを挟んでしまうので開けることができなくなってしまいます)

トビラにカエル

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●オタマジャクシの飼い方

 もしカエルではなく、オタマジャクシを手に入れたとしてたら、カエルのオタマジャクシの飼育をしなければなりませんが、実はそれほど難しくははありません。カエルより楽かもしれませんね。熱帯魚や金魚を飼育されたことがある方なら簡単だと思います。水を結構汚すので、ほぼ全部の水を総取っ替えするような水換えを週に一度はしましょう。カルキ抜きを必ず入れて、溜まった糞ごと水を換えるのです。餌は比較的何でも食べるようですが食べ切ることができる程度の量を与えて水をなるべく汚さないようにする必要があります。ごはんつぶなども食べますが、赤虫など動物性蛋白や金魚の餌がおすすめです。フィルターを入れて物理ろ過を働かせてあげれば十分に飼育ができます。外掛け式フィルターや上部フィルター、それにシャワー式の吐水の水中フィルターであれば、浄水が水槽内に戻るときに空気を水に含んでくれるので、エアポンプは不要ですが、数多くのオタマジャクシを飼育される場合には酸素不足になる恐れがあるので、念の為エアポンプを用意しましょう。

オタマジャクシ

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●飼育下での繁殖

 チャレンジしてみたいとは思いますが、これはちょっと大変かも知れません。大量の卵塊から孵るオタマジャクシをみんな育てたらすごい量のカエルが育つことでしょう。そして、オタマジャクシからカエルになった直後はまだ体がとても小さく、非常にデリケートです。自然界においてもある程度はこの段階で淘汰されてしまうのでしょうが、飼育下でも育て上げるのは困難ではないでしょうか。小さなカエルにはもっと小さな餌を用意する必要があります。ヨーロッパイエコオロギなら2令くらいまでではないでしょうか。
ぜひ「アマガエルの繁殖、累代飼育をすでに成功させているよ」って言う方いらっしゃいましたらブログのコメント欄かツイッターからお知らせください。勉強させていただけたら嬉しいです。

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●太陽光と体色について

飼育下だとアマガエルの体色が白っぽくなることが知られています。うちのアマガエルも同様に白からグレーの色であることが多いです。体色変化については諸説あり、
・太陽光を浴びることで緑になる
・周りの色に合わせて擬態のように色を変える
・環境との因果関係はない
など様々ですが、どれも自分の経験からはピンとこないところです。うちでは緑のポトスの上にいても緑色にはならないですし、太陽光を浴びても緑にはならないです。直射日光なら違うのでしょうか。また、一日同じような環境に置いていても大きく体色が変化することがあり、環境との関係はないという説があるのもなんとなく理解できます。
一時期、一日の中でほんのわずかしか日が当たらない場所にカエルのプラケースを置いたことがありました。夏だったので、日光で熱くなりすぎるから日差しは避けようと思っていたのです。
ポトスは耐陰性が強いので、日光が当たらなくても明るい室内なら育つのですが、アマガエルの調子が悪くなってしまいました。体色もその当時は黒ずんでいたように思います。
以上のことからカエルにとってもトカゲと同様に日光浴は必要なのだろうと今は考えています。ただ、温かい部屋で体温が下がらなければ良いわけではなく、日光を浴びることに何か別の意義があるのだろうと思います。ですから今はグラステラリウムを日光が入るところに置いてあります。この記事を書いているのは10月ですからもうそんな真夏のような強い日光が入ることはなく安心して暮らすことができています。
それでも鮮やかな緑色には戻りませんが、餌をきちんと食べて元気に暮らしていますからとりあえず大丈夫そうです。
この記事を書いた翌日、アマガエルを見たら緑になっていました!緑の葉に乗っていたからでしょうか。不思議な子です。

緑のアマガエル01

緑のアマガエル02

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最後にマグネットカエルと本物ガエルのお写真。ビンの上にいるのがマグネット製のアマガエルでケージの中にいるのが本物のアマガエルちゃんです。
全く同じポーズをしていたので、鏡のように重ねて撮影してみました。お気に入りの一枚です。

カエルの鏡

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