トカゲ(カナヘビ)の病気、ケガと治療その2
2019/01/04
前回、動物病院で検査・治療中のサキシマカナヘビがいることをお知らせしました。
その後についてご報告です。
体の小さなカナヘビのような生き物は、腫瘍の摘出術そのものが非常に高負荷となるため、手術に成功しても体力が持たずに亡くなってしまうというリスクがありました。
手術をするか否かの判断はそこが一番気がかりでしたので、まず術前に可能な限り検査をしていただきました。
この腫瘍を摘出する手術を受けました。
腫瘍を切除することはできましたが、まだ完全に取り切れたわけではないこと、また、がん細胞は全身を巡っており、いつどこに転移があってもおかしくない旨の説明を受けました。
手術直後は血が止まらず、止血にとても苦労されたことを医師から伺いました。
なんせ非常に小さい体なのでガーゼのようなものを巻くこともできないですし、
「動かず、安静にしててね」
と言って聞いてくれるわけでもありません。
しばらく食欲もまったくない状態でしたので、強制給餌をしていただいてなんとか体力を保っていました。
遺伝子異常による癌化であろうとのことです。
今回、手術をしていただくにあたり感じたこととして、やはりエキゾチックアニマルは病気の検査や治療も含めてその飼育方法そのものがまだまだ体系的に形成されておらず、病気の検査も治療も手探りの状態であることです。治療ができる医師、医療機関が非常に限られてしまいますし、その限られた医療機関であっても前例のない施術になる可能性が高いこと、エキゾチックアニマルを扱えるような優秀な医師がいる医療機関であれば、手術を受けたくとも予約などに非常に時間がかかることなど、多くの障害がありました。実際に手術の日程が取れなかったことから初診の日から手術まで一か月以上積極的な治療ができない状況が続きました。
診断書の中では更に精査をすることが推奨されていますが、現実問題としてこれ以上の検査は難しいでしょうし、更に手術を重ねる体力はこの子にはないでしょう。
正直、今回の治療を受けることができただけでもとても幸運なことではないかと思っています。
「手に負えない」と断られてしまってもなんら不思議はないと思えるくらい難しい手術だったのではないでしょうか。
このような小さな体の爬虫類の外科的処置、しかも前例のないものを承諾して頂けた医療機関様には感謝をしなければならないと思っています。また、術後も止血や強制給餌など、体力の回復に尽くしてくださったことに感謝しています。ありがとうございました。
主治医と相談してこれ以上の外科的処置はしばらく控えて安静に自宅で過ごすことにしました。
またどこかに転移をして癌細胞ができてしまうかも知れませんが、残念ですが、そのときはもう仕方のないことだと考える必要があるのかも知れません。
手術を受ける体力がなければ天命を全うさせてあげるのがいいのかも知れませんね。
同じようにトカゲやカナヘビを飼育されている方、ぜひ腫瘍の早期発見のため生体の観察を怠らないようにしてください。
また、少しでも異常を感じたらすぐに診ていただけるように「かかりつけ医」を持つようにしましょう。
みなさんのもとでカナヘビやトカゲたちが長生きできますように。
※手術から20日程度経過した傷跡の様子です。
だいぶ止血ができているようです。
コオロギも食べて、排泄もきちんとできるようになりました。
正直、がん組織の転移の可能性は高いとは思うのですが、少しでも元気に暮らしてくれることを祈っています。
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