今回は失敗の告白(懺悔)です。
この記事は正直なところ、全く筆が進みませんでした。
失敗には取り返しがつくものとつかないものがあります。
取り返しのつく失敗は歓迎すべきものです。
「うまくいかない方法をひとつみつけた」だけですから。改善すればいいだけです。
そんなことは試行錯誤の中では良くあることです。
しかし、今回告白するのは取り返しのつかないものです。それはペットであるトカゲの死です。
正直、私は「記事にする必要はないのではないか」、「失敗したことをわざわざ公表する必要はないのではないか」と考えていました。
トカゲの飼い方、コオロギの飼い方を記事にしておいて、失敗して死なせてしまったなどということを公表すればこの記事を読んでくださる方にどう思われるか怖かったのです。
しかし、このブログのコンセプトは、
「ニホントカゲやカナヘビなど身近なトカゲの飼育のハードルを下げること」
「ニホンのトカゲの魅力を知ってもらうこと」
です。
そのために高価な飼育用品をあえて使わず、工夫を重ねているようなところがあります。そして飼育の意欲が減退しないようトカゲの魅力を堪能できるよう考えてきました。
例えば、かつてニホントカゲを飼育していたときには底に黒土を敷いていましたが、今回は敷きませんでした。
前回飼育した時はいつもニホントカゲが土に潜ってしまって観察ができず、ニホントカゲの魅力を感じることが難しかったられなかったからです。
そのような本来のコンセプトを考えれば試行錯誤の結果はきちんと公表をしなければならないと思うようになりました。
また、飼育をしていくうちに「アオカナヘビ」や「サキシマカナヘビ」に出会いました。かつては知らなかった種ですが、沖縄に生息しており、数が激減していることを知りました。
これらの種を保護繁殖することができれば貴重な野生生物を採取して売り物にされることが無くなると考え、繁殖を目指しました。そしてこれが私のトカゲ飼育のもう一つの目標、コンセプトになりました。
繁殖できたら動物取扱業をとって販売しよう。もうサキシマカナヘビやアオカナヘビは貴重な自然環境から採取しなくとも国内で自家繁殖したものを流通できるようにしようと思うようになりました。
実はニホンカナヘビもサキシマカナヘビもよく卵を産んでくれたものです。
しかし、ほとんどが無精卵でした。サキシマカナヘビは確実にオスメス揃っていたのですが、有精卵はおそらくなかったのでしょう。あるいはいくつかあったのかも知れませんが、卵の管理が上手ではなかったのかもしれません・・・。
今回の記事は私にとって非常に悲痛な思いが籠ったものですが、同様の失敗をする方が今後1人でも少なくなることを願い、記事とします。
1 アオカナヘビの死
アオカナヘビは60cm水槽の中で元気に暮らしていました。ただニホンカナヘビやニホントカゲと異なり、あまり大きなサイズのコオロギを食べてくれないので、sサイズ以下のコオロギの確保が必要でした。コオロギ達はどんどん大きくなってしまうので彼の餌は確保が大変でした。そこで異なる餌を試してみることにしたのです。
それはニホントカゲに人気だったミルワームです。ニホンカナヘビは興味を示しませんでしたが、ニホントカゲは喜んで食べに来てくれました。
それをニホンカナヘビやアオカナヘビに何度か与えてみたのですが、どちらもほとんど興味を示しませんでした。しかし、ある日アオカナヘビがミルワームを食べてくれたのです!
おお、これで餌のバリエーションが増えたと喜びました。
しかし、その後の週末に事件が起きました。アオカナヘビの動きがひどく散漫で、瞼を閉じたまま「あくび」のような仕草をしているのです。
どうしたのかな?とは思いましたが、あまり深刻に考えませんでした。すると枝の上で立体活動をしていたアオカナヘビが「ドタっ」と音を立てて地面に落ちました。
こんなことは初めてです。
慌てて抱き上げると肛門が腫れ上がっており、糞が詰まっていました。便秘だったのです。
慌ててトカゲの便秘解消法を調べましたが、既に体力がなく、生体に負担を掛けることはできません。フトアゴヒゲトカゲなどは便秘にならぬよう温浴をすることがわかりましたが、アオカナヘビを慣れ親しんだ飼育環境から取り出して温浴をさせることは困難です。
そんなことを繰り返したら人に慣れなくなってしまうことでしょう。
しかし、今、この便秘を解消しないと死んでしまう。
糞はカチカチに固くなって肛門に張り付いていましたので、ウエットテッィシュで優しく取る事にしました。
しかし、そのことでさえ、もはや彼にとっては負担だったのでしょう。その時に大きく暴れて、その後は動かなくなってしまいました。
糞はきれいに取れましたし、温浴もその後させましたが、全く元気がありません。
そのままお亡くなりになりました。
また元気に動いてくれるのではないかと思い、水槽に戻しましたが、もう動くことはありませんでした。
しかし、ここでニホンカナヘビたちが不思議な動きを見せました。
無くなったアオカナヘビを追悼するようにアオカナヘビに触れるです。
そのうちにニホンカナヘビたちはアオカナヘビを咥え、無理にでも動かさそうとしました。
「おい、何やっているんだ。動けよ。」
「いつもみたいに遊ぼうぜ。」
そう言っているように私には見えました。
餌と誤認して咥えることはまずないと思うのです。ニホンカナヘビたちは生きていて動くもので口に入るものしか餌として食べませんでした。
死んでしまって動かない自分より大きなトカゲの遺体を餌と思うとは思えません。
そのときの様子を動画で撮影しましたが、亡くなったペットの姿をネットに上がる気持ちにはなれず、ローカルPCに保存してあります。
この時のニホンカナヘビの心境を聞いてみたいです。便秘の主たる原因は恐らくミルワームではないかと考えています。これが消化不全だったのでしょう。改めて過去の写真をみると肛門の辺りが詰まっているように見えます。あまり消化器官が強い子ではなかったのかもしれません。
2 ニホントカゲの死
最初に飼い始めたオリジナルメンバーであったニホントカゲも亡くなってしまいました。実は彼は飼育している中で行方不明になってしまったのです。
毎週末には60cm水槽の中を全部きれいに掃除していたのですが、あるとき、行方不明になりました。どこを探してもいないのです。レンガを水槽の壁沿いに立てていますが、そこからジャンプして外に出たのでしょうか。コオロギでさえ脱出できていないのに、カナヘビではなくニホントカゲがそれほどの跳躍力をもって外に出たとは考えにくいです。
私が水槽の掃除をしているとき、間違って外に出してしまったのか・・・。
それともほかのトカゲの餌となってしまったのでしょうか。
いやいや、ニホントカゲが他のトカゲに丸呑みにされるようなことも考えにくいです。
原因は不明でしたが、とにかくある日突然姿を消しました。
自ら脱走したことは可能性が低いものの、ありえない話ではないと考えて60cm水槽には金属の網の蓋をつけることにしました。
しかし、そうすると今までガラス水槽に取り付けていたホットスポットのためのランプが付けられません。
多少熱効率は下がってしまいましたが、脱走されてしまうよりはましです。
スポットライトはよほど熱いのか、金網はすぐに熱で歪んでしまいました。
でも使用には耐えることができそうでしたらそのまま使用していました。
ところで家の中で行方不明になってしまったニホントカゲを見つけるのは困難です。
それもいつ居なくなったのかすら分からないのです。
朝方に日当たりの良いところにいないか探しましたが、みつかりません。ずっと家にいるわけにはいきませんから家を出るまでの間、探しましたが、みつかりません。
それからだいぶ経過してからとうとう窓の下で亡くなっている姿を確認しました。
多くの人にはたかがトカゲと思われることでしょうし、ペットとするどころか見かけたら嫌な気持ちになる方もいらっしゃるでしょうけれど、私にとっては大切なペットでしたから本当に辛く悲しく、また自らの至らなさを悔やんだものです。
3 ニホンカナヘビの死
ニホンカナヘビは全部で4匹いました。ペットショップで買ったのですが、オスメス見分けがつかないと言われたので、複数買ったのです。一匹だけ体格が大きく、あとの3匹は小柄でした。ペットショップの店員さんからは大きな子がきっとメスだと聞いていて、あとの3匹は雌雄不明でした。
彼らはアオカナヘビとニホンカナヘビを飼っている水槽に入れました。4匹とも無事に馴染んでくれて仲良く過ごしてくれました。
そこに今度はサキシマカナヘビのペアを入れました。
するとなんと大きなニホンカナヘビがサキシマカナヘビを追い掛け回すようになりました。
サキシマカナヘビを追い掛け回して噛み付くのです。
縄張りを荒らされたと考えたのか分かりませんが、これまではそんなことをすることはなかったのでびっくりです。
しかし、オスの求愛行動としてメスの体に噛み付くということがあるようなのでひょっとしたら求愛行動なのかも知れません。するとこの大きなニホンカナヘビはオスということになります。私としてはサキシマカナヘビとニホンカナヘビを交配させるつもりはありませんでしたし、あまりにしつこく追い回すものですから大きなニホンカナヘビは大きなプラケースに引っ越してもらうことにしました。それからお互いに平和な時間が続きました。
ひとりきりになったニホンカナヘビはちょっとかわいそうに見えました。
ひとり孤独なニホンカナヘビは全く私に慣れることはなく、何度ピンセットで餌を持っていってもほとんどピンセットから餌をとりません。
むしろ睨み付けてくるように見えました。恨んでいたのかもしれません。
60cm水槽に残されたニホンカナヘビとサキシマカナヘビは卵を産むようになりました。しかし、卵が孵りません。ニホンカナヘビの卵は全て無精卵に見えました。
繁殖には別居してしまったオスが必要なのです。
そこで再度ニホンカナヘビたちを同居させることにしました。
大きな衣装ケースに隠れ家を設けてチモシーを敷き詰めて4匹のニホンカナヘビを入れます。
さっそくオスは求愛行動を始めました。体格の大きなオスが迫る求愛行動は一回り小さなメスには抵抗のしようがなく、なすがままにされているように見えましたので、ちょっと気の毒に思いましたが、これがカナヘビの世界の交配なのだと割り切りました。そしてそのうちに有精卵が生まれるだろうと思っていました。
しかし、日に日に体格の小さな3匹のニホンカナヘビが消耗してきたのです。
中には首が曲がっているように見える子も出てきました。
体格の大きなニホンカナヘビが襲うのが果たして求愛行動なのか、縄張り争いなのかわからないくらい激しいのです。
もともとニホンカナヘビの求愛行動というのはこのくらい激しいものなのか、今回の事態が異常なのか私には分かりません。
しかし、間もなく3匹の小柄なニホンカナヘビは同時に亡くなってしまいました。
うち2匹は隠れ家にひっそりと身を寄せるようにして亡くなっていました。
今でもオスが他の3匹を追い掛け回して噛み付いていたことが求愛行動なのか、縄張り争いなのかは分かりません。しかし、3匹にとっては耐え難い負担だったのでしょう。
今でもその衣装ケースの中で体格の大きなオスは元気に暮らしていますから飼育環境に問題があったわけではないと思うのです。そしてかつてはこのオスも他のニホンカナヘビやニホントカゲ、アオカナヘビたちと仲良く暮らすことができていたのです。
なぜこのような事態になってしまったのかまだ答えは出ていません。そもそも以前カナヘビを飼育していたときも多頭飼いで、一時期は10匹を越えるカナヘビたちが同じ水槽にいましたが、縄張り争いをするようなことはほぼなく、みな仲良く暮らせていました。本来であれば相手を死に至らしめるほどの縄張り争いをする種ではないと思うのです。
私なりの理解としては、サキシマカナヘビを導入した日、この大きなニホンカナヘビに縄張り意識が芽生えて行動が変わってしまったのではないかと思っています。彼にとっては慣れ親しんだ環境に入ってきた新参者に見えたのでしょう。
そのあと、1人で別居期間があったこともがさらにそれを強化してしまったのかも知れません。ひとりで自由に暮らすことが当たり前になり、縄張り意識が強くなってしまったのかも知れません。
生き物には個体差があります。人もみな性格が異なるようにカナヘビたちもまたそれぞれの性格の違いがあるのでしょう。この大きなカナヘビは人に慣れることもなく、仲間と仲良くすることもできなくなってしまったのかもしれません。もうこのニホンカナヘビとほかの生き物を同居させるのは避けた方が良いのかも知れません。
もっともこのニホンカナヘビに追い掛け回されても噛み付かれても平然とできるようなより大きな体躯の種であれば問題ないかもしれませんが。
4 サキシマカナヘビの死
60cm水槽にはアオカナヘビ、ニホントカゲ、ニホンカナヘビがいましたが、それぞれいなくなってしまいました。残されたのはサキシマカナヘビです。
なんだか寂しくなってしまいました。
しかし、その分掃除は確実に楽にはなりましたが・・・。
相変わらずオスがメスを追い掛け回す日々が繰り返されていました。
しかし、このオスよほどモテないのか、全く相手にされません。
上野動物園のパンダの繁殖が難しいというのが分かる気がしてきました。
しかし、ある日突然、一匹のサキシマカナヘビが亡くなりました。
ホットスポットの上あたりで仰向けに倒れていたのです。
普段仰向けになることなどないのでびっくりして抱き上げたところ、既に亡くなっていました。
死因は不明でした。ニホンカナヘビと同じく、オスが追い掛け回したことが原因でメスが亡くなったのでしょうか。
「え~??死に至らしめるほど追い回すのか・・・。」
と残された一匹を殺人犯を見るようなめ目で見てしまいました。
今でもこの子が亡くなった原因は不明です。これきり無精卵すらも産まれることが一切無くなったので、メスが亡くなってしまい、オスだけ残ったようです。
ただ少し気になることがありました。
亡くなったサキシマカナヘビの遺体は、頭の損傷が一番激しかったのです。
気持ち潰れて黒ずんでるように見えました。潰れている上に焦げているような黒さがあり、頭だけ水分が極端になく乾燥していました。
ここから先は憶測でしかないのですが、水槽の壁沿いに鉢底ネットとレンガで造った壁がありましたからそこを登って、そこからひょっとしたら脱出を試みてジャンプしたときに蓋の金網と水槽との間に頭を挟んでしまったのではないだろうかと考えています。
金網はスポットライトの熱で歪んでいましたから脱走はできなくとも頭が挟まるくらいの隙間ができてしまっていたのです。
スポットライト近くの金網は熱を持っていますし、重量もありますからそこに頭を挟んでしまえば死んでしまうことでしょう。
オスが助けようとして咥えて引きずり落としたときにはもう死んでしまっていたのかも知れません。
その後に私が気づいたのかも知れないなと思っています。
そうであればオスは殺人犯どころか助けようとしてくれていたことになります。
この事件以降、蓋は外しました。
もし私の推測が正しいとするならば、蓋近くまでサキシマカナヘビが登ったことになりますからその足がかりとなるレンガを改修しなければなりません。おそらく高さがありすぎたのでしょう、切ったほうが良さそうです。今4列あるレンガを2~3列にした方が良さそうです。
しかし、そもそも今や60cm水槽にサキシマカナヘビ1匹ですからレンガをおく必要もないと考えてレンガも外しました。
もともとレンガを水槽の壁沿いに置いたのは複数のトカゲがいっぺんに日光浴をするために効率的だからでした。しかし、もはや1匹になってしまったトカゲのためにはホットスポットはそんなにたくさんいらないからです。
もし再度使うようなことがあればそのときはレンガの高さを調節します。
ここから一列切れば(赤い点線で切れば、)22cmくらいの高さにまでレンガ壁を下げることができますから水槽から脱出するには23cm位ジャンプせねば脱出できなくなります。また、黄色の線で切ればレンガ壁の高さは15cm位になりますから脱出するには30cmの壁となります。
当初は問題なかったものの、成長したトカゲは15cm位なら飛んでしまうようになったのかもしれませんね。もしまたこのレンガ壁を使うなら、ぜひしたい改善です。
これで現在飼っているトカゲは、サキシマカナヘビ1匹、ニホンカナヘビ1匹、ミヤビキノボリトカゲ1匹になってしまいました。それぞれ別ケージで飼っています。
ミヤビキノボリトカゲはすっかり慣れてくれて、私をみると餌をせがむようになり、もう「慣れている」から「懐いている」と言ってもいいレベルになりましたが、正直、多くのトカゲを亡くしてしまったショックがあまりに大きくていくらミヤビキノボリトカゲが懐いてくれてもハッピーな気分になれません。しまうま氏のブログで今年も無事にサキシマカナヘビの繁殖が出来たと聞いたときは、とても嬉しい気持ちになりましたが、自分自身はまだ前向きな気持ちになれないところです。しまうまさん、ぜひちびっこサキシマカナヘビの飼育、成功させてくださいね。
新しいトカゲを買って来て、今度こそうまくいくよう再チャレンジすることが必要ではないか、今度こそサキシマカナヘビやアオカナヘビの繁殖体制を確立することが試行錯誤の結果亡くなってしまったトカゲ達の供養になるのではではないかとも考えますが、まだ気持ちが追いついていかないところです。
コロオギ飼育は順調ですが、前ほど消耗しなくなってしまったので、アマガエルを買ってきました。
カエルは2匹買いましたが1匹はオスだったようでたまに鳴きます。雨の前や雨が降っているときによく鳴きますよ。
しかし、今回は深く反省です。だいぶ落ち込んでいますが、貴重な命を落としてしまったトカゲたちに哀悼の意をこめて、私と同じ過ちをする人が今後いないよう祈りつつ今回の記事をアップしたいと思います。
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